ユーコン川をカヌーで下る⑪ ツインクリークス(7月22日)

要約

  • 砂糖と煮るだけでブルーベリーは美味しいジャムに
  • グリズリーが川を泳いでいた
  • ユーコンにタープは必須
パイクとブルーベリーの料理

昨日獲ったブルーベリーに砂糖を入れ、焚き火で煮詰めた。これだけでとても美味しいジャムができた。フランスパンに乗せて朝食にした。

釣ったパイクは2種類の料理にした。一つは、シンプルに焚き火で焼いてトマトクリームのパスタソースで。身がプリッとして美味しい。ただ、身の間にあるY字の小骨が邪魔なのと、独特の匂いが後味にあるような気がした。

もう一つは、麺つゆに砂糖、ローズマリー、少量の水を加えてしばらく浸し、焚き火でスモークした。身がほぐれやすいので骨がとりやすく、煙で香りがついて後味も気にならない。僕はこの食べ方が気に入った。

ちなみに日本から来る前、パイクが釣れたら蒲焼にしてやろうと思っていた。ナマズと同じ白身の肉質であれば、同様に美味しいはずだと思っていた。しかし、不覚にも金串を忘れてしまった。木の枝で串を作れば可能だろうが、その元気はなかった。

肉質はパイクとナマズでは違いがあるようだった。例えるならナマズは鶏肉、パイクはエビ類だ。

グリズリーが川を泳ぐ

朝靄の中を出発した。テスリン川が合流してから川幅は倍になり、水にも濁りが出ていた。少し進むと雨が強くなってきた。「試練」という言葉がしっくりきた。
少し離れた場所の右岸の出っ張りで大きな生き物が現れた。
グリズリーだ。次の瞬間、グリはザバザバと水に入り、川を泳ぎ出した。

クマは泳ぐので中州にも足跡があるとは聞いていたが「本当に泳ぐんだ」と驚いた。でも橋がないのだから、泳いで渡るのは当たり前かもしれない。

カヌーにつけたGoProの録画ボタンを押して慎重に近づいた。かなり接近した気になっていたが、録画した動画を見るとクマは米粒ほどにしか写っていなかった。ビビって数十メートル離れていたようだ。

グリは崖を上った。「おい」っと声を出すと、グリはこっちを向き、歯を出して威嚇してきた。これは逆効果だった様子。手をパンパンと叩いてみると、逃げていった。

初日のクロクマも手を叩く音で逃げた。僕の中ではこの音がクマを遠ざけるのではないかと考えている。

ニュージーランドの3世代家族

少し進むと今度は手を振る人の姿が見えた。「上がっていきなよ」と意味のことを言っているようだった。離れていたが目一杯漕いで、流される直前、ギリギリで接岸した。

彼らニュージーランドから来た3世代家族。おじいちゃんのジョンで牧場主。その奥さん、息子(あるいは娘)夫婦、小学校低学年か幼稚園くらいの孫3人の7人だ。

さっき到着して雨よけのタープを張り、焚き火を起こしたところらしい。暖かいホットチョコレートを入れてくれた。お父さんは大工兼アウトフィッターだといい「休みなんだかどうなんだか」と笑っていた。

僕が「さっき泳いでるクマを見たんだよ」と写真を見せると、「僕もね、僕もね、おっきいクマを見たんだよ」と目を輝かせて自慢した。

ちなみにこの少年は後日、ぼーっとしていたのかカヌーから川に転落してしまう。僕はその場面にいなかったが、目撃者曰く「父親が片手でひょいっと拾ってカヌーに乗せていたよ。子犬でも拾い上げるみたいだった。タフな父親だね」。

キャンプ地・ツインクリークス

小雨が降り続いた。

カヌーの上で椅子に座ったり、フライを振ったりしてのんびり下った。

日本で買ってきたヘリノックスのグランドチェアは驚くほどカナディアンカヌーにフィットした。体を包み込むようで座り心地もよい。この椅子に座り、川の上を漂いながら、うとうとして寝てしまうこともよくあった。

午後7時、ツインクリークスに上陸。この周辺は地図でGood Campと書かれた場所が数カ所ある。人がいなかった真ん中のキャンプ地を選んだ。

雨のユーコンは大変である

雨の中、クマの危険がある場所でキャンプを設営するのは、かなりの気力と体力を使う。

まずは屋根を作る。雨を避け、荷物を置き、濡れた雨具を干し、食事をする場所として必須だ。

出発前日、最後まで買うべきか迷ったのがこのRabのタープだった。シンプルだけれどさまざまな張り方ができ、軽量なので重宝した。

クマ対策のため食事はテント内ではできない。このタープがなければ、雨の中どこで食事ができただろうか。(ある人はタープがなかったので「雨の中で立ってラーメンをすすった」らしい)。

結論。荒野の旅にタープは必須だ。

次は薪集め。暖をとるのはもちろん、煙の匂いをクマが嫌がると言う話がある。長時間燃やし続けるためには、たくさん必要だ。

ノコギリを持って林に入り、太いものから細いものまで色々集める。キャンプ地に持って帰ると、長さを適当にきりそろえる。太い薪の内側は乾燥しているので、割って焚付けを作る。

体は雨に濡れ、汗もびっしょり。

ここから濡れた薪に火をつけ、安定した焚き火を作らなければならない。紙に火をつけたらすぐに細い木をくべ、息を吹き付けながら徐々に大きな木を足していく。これが簡単ではない。

川の学校で子どもと遊んでいる時、子どもの体を温めるために、木をパパッと集めてたき火を起こすことはよくあった。スタッフにも指導していたし、それなりの自信があった。

それでも雨のユーコンでの焚き火はよく失敗した。どの薪もびしょ濡れで、紙などの焚付けも少ない状況では、すべてのステップを丁寧にやらなければ失敗してしまう。

大抵は準備が雑なのが原因だ。乾燥した木(太い木の内側など)が少なかったり、異なるサイズの薪をごちゃまぜにしていたりする。焚き火の序盤は、「乾燥した」「十分な量の」「細い木を」「手際よく」焚べることが必要だ。

焚き火ができた頃にはクタクタだ。タープの下にしゃがみ込んで一息ついた。

インスタントラーメンを調理し、夕食。森から追加の薪を調達した後、最後に就寝用のテントを張った。

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