要約
- フォートセルカークには気持ちいいキャンプ場がある
- ちょっとした油断が怪我に繋がる
フォートセルカーク
晴天。川幅はさらに広がり、中洲の数がさらに増えた。

12時半、公営のキャンプ場があるフォートセルカークに到着。
かつて交易で栄えた村で、古い建物がたくさんあった。
丸太でできた小さな家が多い。それぞれ年相応に朽ちているが、自由に入ることができた。

大草原の小さな家たち。



今日はさらに進む
ここで宿泊するという安田さんと別れ、さらに先へ。
太陽が泥色の川を照らしていた。遠くに浮かんでいる大きな雲に向かって進んだ。奥田民生の歌詞を思い出した。
「風の先の終わりを見ていたらこうなった。雲の形を真に受けてしまった」(さすらい)
カーマックス以降Good campは減る
カーマックス以降、川地図には”Good Camp”の表示がめっきりと減った。良いキャンプ地を見つけるのは自分の感覚と経験が頼りだ。
川の両岸は茂みが多く、平坦な場所が少なそうだった。クマに出会うリスクも高そうだ。
故に中洲が真っ先に候補に上がった。河原が広いのもいい。
砂利の河原はペグが打ちにくいので嫌う人もいるが、ずっと僕は広く見晴らしのいいので大好だ。
ペグがわりに大きな流木に2本の支点をとってタープを張った。流木のポールを立てて、前の2点は再び地面の方向にアンカーをとった。これで横からの雨も防げる。

ビールを飲んでほんの少し酔っ払い、フライを振った。悪くない筋を流していると思うのだが、グレイリングは食いつかなかった。カーマックス以降、釣りは難易度を増しているように思えた。
荒野でのケガ
薪を追加しようと、のこぎりで長い流木を切った。しかし旅にも慣れてきたせいか、この時はいつもしている手袋をしていなかった。
そんな時に限って、手を切ってしまう。切ったのは右手の人差し指だった。
しかもノコギリは切れ味抜群で、海外のキャンパーにも自慢していたシルキーのゴム太郎。切り口は狭いが、奥には深そうだった。
カヌーピープルでスコットが言っていたことを思い出していた。
「アクシデントっていうのは、大抵バカなことをした時に起こるもんだよ」
ビールを飲んで、しかも手袋をせずにノコギリを扱い、またそれを荒野でやってしまうという油断。
「きっと切れていない」。そう心の中で唱えて自分をごまかし、ファーストエイドキットを取りにいった。指を全く動かさず、マキロンで消毒し、バンドエイドと非伸縮のテーピングテープでぐるぐる巻きにした。傷口を妙に弄らなければ、きれいにひっついてくれると信じた。