ユーコン川をカヌーで下る⑰ 川辺の民営キャンプ場(7月28日)

荒野で怪我すると…

切れた指の血は止まっているようだった。テーピングテープで一晩固められた指はいささか冷たくなっているようでもあった。

帰国してからの話になるが、野田さんの仲介でユーコンベテランのお医者さんに会った。

彼曰く、傷も下手に処理して放置すれば、指を失うことだってあり得るという。だから彼はナイフを一切使わず、すべてキッチンバサミで済ませるのだそうだ。魚だっておろせるらしい。

まだ動かしては傷口が開いてしまいそうな気がしたので、指を気にしながらパドリングした。

晴天。いつもの通り、1時間ほどかけて荷物を一つ一つパッキングし、出航した。

泥で茶色い川が延々と続いた。
夕方、私設のキャンプ場にテントを張った。料金は忘れた。

ユーコンで活躍した刃物

今日も薪を割り、火を起こした。ちなみに持ってきた刃物は昨日怪我したノコギリのほか、ガーバーのゲーターフォールダー、コールドスチールのスペシャルフォースシャベル、レザーマンのマルチツールの4点。

ゲーターフォールダーは小物を切るにも、魚をさばくにも、小さな薪を割るのにも過不足がないナイフで、普段のキャンプ、川遊びの時からお気に入りの一本。

コールドスチールのシャベルは今回のために買ったもので、ブレードに刃が付いているという不思議な一品だ。ロシアの特殊部隊が使うシャベルを元にしたという。

これが大活躍だ。植物の根が張り巡らされた地面でも綺麗なトイレ穴が掘れる。熊と出くわした時にも何か武器を持っていれば少しだけ安心だ。実際は熊の前では何の役にも立たないんだろうけど。

シルキーのゴム太郎は他の旅行者を驚かせる切れ味があった。安田さんが言っていた。「すごいですね!僕がカヌーを借りた店のオーナーに”みんなが使ってるノコギリはおもちゃだ!”って今のノコギリを買わされたけど、これは全然違う」。

この日も日が沈む前に寝てしまった。クマが出て来る雰囲気ではないので安心だった。

宿はなし 今日も川のそば 暮れ行く夕凪を眺めれば(くるり・宿はなし)

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