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カヤックで溢れるキャンプ場
マーチソンのキャンプ場、Riverside Holidayparkはカヤックであふれていた。
週末にカヤックの大会があるのが一因だ。
でもそれだけないようだった。
「大会には出ないよ」と話すカヤッカーも多かった。
「今日はアースクエイク・ラン(クラスⅢ)に行ってきたわ。明日は?うーん。まだ決めてない」
そんな会話があちこちで聞こえた。
マーチソンはブラー川沿いにある小さな街だ。
ガイドブック・Whitewater NewZealandは
この一帯についてこう記している。
「ブラーは今もなおカヤッキングに置いて最も偉大な川である。それは最も困難であったり、長かったり、急だったり、大きかったりする訳ではない。しかしその地域には様々なレベルの川が最も密集している。」(筆者訳)
ニュージーランドの2級3級はどんな川?
同書はニュージーランドの川の
レベル、アクセスなどを網羅したカヤッカーの定番本。
ロンリープラネットなどと同じで極力は写真は排除していて、
情報をぎっちりと詰め込んでいるのが特徴だ。
ブラー川の周辺では10のコースが紹介されていて、
それぞれClassⅡ、ClassⅢ+、ClassⅣなどとランク付けされている。
ところで日本でも瀬の激しさは2級、3級などとランクづけされるが
ニュージーランドの基準は日本と同じなのだろうか?
この疑問は、サラリーマン転覆隊の本田亮さんが投げかけている。
「サラリーマン転覆隊 悪ガキオヤジが川に行く!」から少し引用する。
文中に出てくる「タツ」という人物はニュージーランドのラフティングガイドさんである。
以下引用①
タツは今でも時々ときどき来日しては、利根川や鵡川でプロのレスキューを訓練をするほどのベテランである。そんなインストラクター中のインストラクターが、レベル2だといったからといって甘くみちゃいけない。転覆隊がいつもの調子で突入したら木っ端微塵である。そのことがチャーミーにはまったくわかっていない。「情けなかあ!わざわざニュージーまで来て2級の川を下って帰るのか!?」
「いや、俺たちのいう4級はあるぞ!」
− 「サラリーマン転覆隊 悪ガキオヤジが川に行く!」
引用②
「転覆隊と下ってみて、この川にも瀬があることがわかりました」
「何いってんだよ、タツ!こりゃ5級の川だよ、5級!」
「僕は2級プラスか、せいぜい3級の川だと思っていたんですけど・・・・・・」− 「サラリーマン転覆隊 悪ガキオヤジが川に行く!」
コースは2級プラスから3級の区間を選んだ。
僕の舟は瀬を一つ越えたらバスタブのようになる
愛艇ジャグジー号(ココペリ・キャストアウェイ)なので無理はできない。
岩だらけの渓谷で何度も水抜きはしたくない。
Doctor’s Creek Run Class Ⅱ+
”Doctor’s Creek Run”は、
マーチソンの町から国道沿いに4キロほど上流の場所から始まる。
キャンプ場から上流へ向かうドライバーが見つかったので、
僕はあっという間にスタート地点に着いた。
キャンプ場で出会った女性が言っていた。
「Doctor’s creek runはClassⅡだからみんなあまり下らないけれど、とても美しい渓谷よ。SUPで下ったけれどエキサイティングだったわ」。
ちなみに彼女はボディーボードでマルイアの滝(Maruia Fall)を落ちたのだという。
クレイジー。
滝の画像をどうぞ。
ブラー川はやや緑がかった透明な水だった。
Doctor’s Creek Runが美しいと言われる所以は、
奇石が作りだす景観だ。
狭い渓谷に水に削られた岩や岩壁が次々と現れる。
緊張するような瀬は全くない。
まさに初心者にうって付けだ。
ただただ「きれいだなあ」と思いながら下った。
あっという間にキャンプ場にたどり着いた。
うーむ。物足りない。
Doctor’s Creek Run からO’Sullivan’s Runのスタートまで ClassⅠ(推定)
さらに漕ぎ下り、
人気のコースO’Sullivan’s Runのスタートまで行くことにした。
この区間はガイドブック(Whitewater NewZealand)に記載のない、
穏やかな区間だ。
後日になるが、浅場ではブラウントラウトが釣れた。
やはり味はイマイチだった。
流れが穏やかな上、
向かい風の厳しいツーリングだった。
パックラフトは軽くて体積が大きいので風に弱い。
街の周辺は開けた場所で、最後は渓谷になる。
川幅が狭まり、水深が深くなる。
2時間ほどでO’Sullivan’sのスタートに着いた。
そこは翌日にあるスラローム競技の会場。
前日に知り合った北海道の学生が練習していた。
朝、上流行きの車が見つかったのも彼らのおかげだ。
(ありがとうございます!)
O’Sullivan’s Run Class Ⅲ
前日はここでラフティングのスラロームをしていた。
川全体に波がたち、泡で白くなっている。
一人だったら行かない。
でも北海道の彼らがいるので挑戦することにした。
「どこを行きましょうかねえ?」
「ど真ん中でいいと思いますよ」
瀬の長さは200〜300メートルで、
下に行くほど激しくなる。
序盤の波も極力避けなければ、
パックラフトにはすぐに水が溜まってしまうだろう。
真ん中をまっすぐに、
しかし波の少ないところを選びながら下った。
中盤を過ぎたあたりで水が溜まって舵が効かなくなった。
あとは正面突破だ。
吉野川・大歩危のような波が数発、体に打ち付ける。
しかしパックラフトはバランスを失うことなく瀬を通過した。
思ったよりも安定しているパックラフト(今更ですが)
なんともあっけないものだった。
陸から見ていた時はよっぽど恐ろしい瀬に見えたのに。
パックラフトは僕がポリ艇よりもよっぽど安定性があった。
冷静に見てみると、
ボリュームもあるし横幅もあるので安定しているのは明らかだ。
ただひとり旅ゆえに、
大きな瀬に一人で突っ込むのを恐れていたのだ。
いやあ、ビビりですみません。
手作りのスプレーデッキ
ただやはり僕のジャグジー号にはスプレーがないので、
大きな瀬を通過する度に水を抜かなければならない。
水がたまれば、ほとんど操作が聞かない。
それで今回、
ブルーシートで作ったスプレーデッキを装着してみたのだが、
これは調子が良かった。
体の前方はぴっちりとカバーしてくれた。
素材は安いブルーシート。
切って端はダクトテープで補強した。
前方2箇所は本体にあるループにカラビナで固定。
シートの後方は自分の腰のあたりにくるので、
ロープで本体後ろのループと固定する。
それだけではシートの上が自分の方に流れて船内に水が入るので、
バックパックなどをシートと足の間に入れて山を作り、
外へ流れるようにする。
また自分の体より後ろは塞がれていないので、
そこからは水が入る。
とはいえ、
おかげでDoctor’s Creek Runでは5キロの区間で3回ほどの水抜きで済んだ。
といっても3回なのだが。