ホーリーフォードはすごい渓谷だった
フィヨルドランド国立公園を流れる
エグリントン川を横目に見ながら車を走らせた。
「グレートウォーク」の一つ
ルートバーントラックの入り口を超えると、
道路は急に下り坂になった。
目の前には壁のような岩山がそびえ立っていた。
それまで見ていたエグリントン川はとても紳士的で、
流量もほどほどで、一言で言えば感じのいい川だった。
目指すホーリーフォード川も
「こんな川ならいいな」などと考えていたのだが、
谷底まで下りた時に想像は打ち砕かれた。
「なんだ!完全なホワイトウォーターじゃないか!」
狭い川幅、連べ打ちで続く瀬、
大きな波、ホール。水はエメラルドブルー。
この荒く、美しい区間は、
ニュージーランドのホワイトウォーターカヤッカーにとっては
「Premier run」なのだそうだ。
僕としてもポリ艇とスプレースカートを持っていたら喜んで入水したいところだが、
残念ながら持っているのはオープンデッキのパックラフトだ。
転覆は御免被りたい。
この荒い区間は通りパスして、
車で約30分下流にあるホーリーフォードトラックの入り口まで向かった。
ホーリーフォードトラック
ホーリーフォードトラックは川沿い、湖沿いを歩き、
海に至る片道5日のトレイルだ。
これに海岸沿いから丘を越えパイク川を下るトレイルを組み合わせると
1週間超のサーキットができる。
このコースはPackrafting NZがツアーを組む
パックラフティングのコースだ。
それをやる気はさらさらないが、
さわりだけでも漕いでみようとなった。
練習がてらのショートトリップ
トレイルのスタート地点からは比較的穏やかな流れのようだった。
河原も広い礫(小石)なので、ちょっと下って歩いて帰ってもこれそうだった。
僕にとってこの時が初の流水パックラフトだった。
スタート直後に波があるので、
そこでいきなり沈というシナリオも考えられたが、
思ったよりパックラフトは安定性があるようで難なく乗り越えた。
ただ少し下流の大きめの波を受けた時には、
水がだいぶコクピットに溜まった。
またウェーブでサーフィンして波に捕まった時には
コクピットがバスタブのようになってしまった。
静水用パックラフトなので仕方がない。
ほぼ未開発の国立公園内だけあって、
川を横切って倒れている巨大な倒木など、
ストレーナーは多い印象だった。
先をしっかりみて進まないと危ないことになりそうだった。
本当にさわりだけを漕いで、
帰りは河原を歩き、フェリーグライドで川を横切り、
エディラインをこぎ上がってを繰り返して駐車場に戻った。
行って帰って2時間ちょいの小旅行だった。
ただパックラフトの動きのくせがわかったし、
何より「ホーリーフォードトラック沿いはパックラフトで行けそう」
というのがわかったのは大きかった。