ウッドストーブは、案外厄介な道具です。
勢いよく炎が燃え上がっても、絶えず枝をくべなければ炎が持続せず、また燃え残りのカスで空気穴がすぐに詰まってしまいます。
おそらくそれは(僕がそうだったように)使い方が間違っているからです。
僕は2週間ほどのキャンプ生活でこのストーブを使い倒し、うまく使うコツを見つけました。
ポイントは「熱を貯めること」。
いくつかのポイントを押さえれば、目詰まりを起こさず30分以上も燃え続けますよ!
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着火は上から!
間違いに気づかせてくれたのが、トークスの公式動画。
これは不親切にも、全く説明がなく、ただ淡々とストーブで湯を沸かす映像が流れているだけなのですが、すぐにあることに気がつきました。
木片を入れた後、上から着火している!?
なんで、と思った方もいるかと思いますが、その通り、焚き火の基本は下から点火です。
ですが、焚き火を長く持続させたい場合、下に木を引いて(枕木)、その上で焚き火を起こすことがあります。
そのようなものなのでしょうか?
使っていて分かっていたのですが、この順番とトークスの動画で最初に入れていたこの木片、実はものすごく重要です。
これには2つの意味があります。
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①空気穴がふさがるのを防ぐ。
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②熱を貯めることで完全燃焼させる。
さて、この記事では太い木材を木片、細いものを小枝と呼ぶことにします。
手順を追って説明しますね。
ウッドストーブの使い方
①木片を入れる。
最初に入れる木片は、直径2センチ以上がおすすめです。
空気穴が塞がるのを防ぐため、簡単に燃え尽きてしまう太さでは困るのです。
また、乾燥していることも重要です。理由は後述します。
分量は半分を少し超えるくらいにしておきます。
②小枝を入れて着火。
木片の上に小枝を入れ、紙などを丸めて着火します。
炎が持続するように、しばらくは小枝を継ぎ足して、ストーブ内に熱量を貯めていきます。
少しするとゴウゴウと火柱が上がって調理を始めたくなりますが、まだ早すぎです。
最初に入れた木片の上の方が炭化して火がついた頃が、調理開始の頃合いです。
先に「下に木片は乾燥していることが重要」と書きましたが、水分の蒸発にはとても多くの熱量を消費します。
木片が湿っていると、この準備の焚き火に長くの時間と小枝が必要になります。
③調理開始。
調理前に枝も少しだけ足しておきましょう。
2つ3つ入れると、炎が立ち上がります。
最初に入れた木片は安定した熱源、小枝は起爆剤です。
そして調理開始。
これでお湯も湧くし、お米だって炊けます。
火力が弱まれば、枝を足します。1つか2つ、ほんの少しでいいです。
この方法なら、空気孔の目詰まりはほぼ起こしません。
木片が炭化し、ストーブ内に沢山の熱がたまっているので、木が完全燃焼するからです。
バーベキューの炭って、ほとんどがサラサラの灰になって消えますよね。
それと同じです。
放っておけば、1時間くらいはじわじわ燃え続けています。
重要なのは熱を貯めること。
繰り返し「熱量」と書きましたが、ウッドストーブが目詰まりを起こす理由は不完全燃焼による燃えかすです。
小枝ばかりで燃やそうとすると、瞬時の熱量は大きな火柱が立つほど強力ですが、表面だけ燃えてすぐに目詰まりを起こします。
理由はおそらく、細い枝は燃える過程での変形が激しく、熱が安定しないのだと思います。
大きな木片に安定した熱を宿すことが大切です。
また下からの着火では、木片に沢山の熱を貯めることが難しいです。
木片の下側に小枝を追加できませんからね。
トークス ウッドバーニングストーブのレビュー
試行錯誤の末、使いこなせるようになり、先日の4日間のキャンプ生活ではこればかり使いましたが、実用性は高くない道具だと思っています。
僕はどんな雨の後でも、失敗せずに素早く焚き火を起こす自信があります。
火を炊ける環境であれば、焚き火を起こして調理する方がよっぽど楽で早いし、濡れた木では不完全燃焼を起こしやすいので、雨の後には使いにくい代物です。(ユーコンで昼食を作る時、僕はほんの小さな焚き火を作って調理します)
ですが、このストーブはとてもいままで何百回と行ってきた焚き火に、新しい視点を与えてくれました。そんな意味でとても面白い道具です。
炎と酸素、水分の関係、熱量と炎の燃え広がり方など、10個くらいは発見があったので、試行錯誤は本当に楽しい時間でした。
普通の焚き火に慣れてきた方も、ぜひ研究の意味で使ってみて損はないです。